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ハドソン川を見ながら 

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>ご存知の通り、ニューヨーク市は、5つの区(ボロウ)から成っている。ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、スターテン・アイランドそして、マンハッタン。クィーンズ区以外は、どの区もハドソン川に接している。そして、ハドソン川の向こう側は、ニュージャージー州である。いわば、ニューヨーク州とニュージャージー州を分けているのがハドソン川だが、幾つかの橋が、NYとNJを結んでいる。

一番知られているのは、ジョージ・ワシントン・ブリッジ(GWB)である。歴史を遡ること独立戦争の時代、英軍(旧宗主国)に対抗しワシントン砦(フォート・ワシントンは、今のGWBのNY側の袂にあった)を陣地としていたワシントン将軍と独立軍の兵士は、当初、英軍に押されてマンハッタンから撤退し、NJ側に動いた。最終的には、米国は独立を勝ち取るのだが、一時戦況が思わしくない時に頑張った将軍で初代米国大統領となった、ワシントンの名はこの橋をはじめとして、アメリカ中いたるところで道路、建物、公園、会社、団体の名として親しまれている。

GWBは、1931年に開通し、ニューヨーク側のワシントン・ハイツとニュージャージー側のフォート・リー(独立軍のリー将軍を偲んで)を結んでいる。フォート・リーは、最初は、フォート・コンスティテューション(憲法砦)と呼ばれたのだそうだが。

余談だが、以前仕事をしていた時、NJの同業他社さんと話をしていたら、この橋の話となった。「有名な話だがね、日本人のおばあちゃんが、アメリカの市民権を取ろうとしてね、一生懸命勉強したんだって。それで、試験の時に、試験官が、初代大統領の名前は?って聞いてきて、おばあちゃん、一生懸命、習ったことを思い出そうと頑張った。で、お婆ちゃんは、大声で、ジョージ・ワシントン・ブリッジ、って言ったんだって。それでも、市民権は取れたんだってよ。」と。
この話、思わず私は笑ってしまったが、同時にお婆ちゃんが一生懸命市民権を取ろうとした気持ちが判る気がした。今から30年ほど前までは、慣れない外国で、必死に働いた日本人(私も含めて)にとって、覚える方法としては、日常親しんでいる地名・人名を、記憶のよすがにしたのだと、身につまされたのだ。

橋の建設を始めたのは、1927年というから、大恐慌の前に建設を開始したことになる。当初は、プロジェクト名としては「ハドソン河橋」というのが通称だったという。

この「ハドソン河橋」だが、1931年の竣工時には、「ジョージ・ワシントン・ブリッジ(GWB)」が正式名称となった。(日本人は、略して、ジョーワシといった。お婆ちゃんは、頑張ったのだ。)1937年にサン・フランシスコの金門橋が竣工するまで、当時としては、世界最長の橋であったという。1946年に当初の6車線に2車線が追加され、更に1962年には、当初の1階層の下に下階層が追加された。この下層階は、ワシントン将軍の夫人の名をとって、「マーサ」と呼ばれた。(とはいえ、現在「マーサ」と呼ばれているとは思えないが。)「マーサ」の追加で、交通容量は75%増しとなったと言われる。

上層と下層の違いは、上層は、空も海も見え、橋の姿も眺めながら運転できるが、下層は、見える水面がわずかで、薄暗い道路を走っていく。当然、上層の方が人気で、混雑も激しい。私も、GWBは、いつも上層を選んだ。なんとなく、地震や爆破などがあった場合、上層の方が逃げるのに選択肢が多そうな気がしたからだ。(実際はどうか?)
現在、吊り橋では世界最大であるとのこと。

2015年の現在では、年間1億6千万台の車両をさばき、世界で有数の、交通量の激しい自動車橋として知られている。通行料も徐々に高くなり、現在は、乗用車は現金であれば$14、EZパス(高速道路専用のクレジットカード)であれば、ラッシュ時は、$11.75, ラッシュ時以外は$9.75 が徴収される。NY州に入る時に支払うのだが、NY州から出る時は、支払い不要。(売り上げは、NY州とNJ州で折半する。)

ところで、サンフランシスコの金門橋も、旅行者に人気の高いブルックリン・ブリッジも、歩行者専用、あるいは、自転車道が傍道あるいは別階(二階構造で、自動車とは別)にあるが、GWBにそうした道路はあるのだろうか、と、気になったのは、今年、そろそろ自動車の運転から引こうかと思い始めた頃だった。丁度、GWBの少し北の東側、ハーレム・リバーに架かった橋の景観が石造りで、観光客が集まっているという写真が新聞に出た頃だ。ならば、GWBも?

調べてみると、自転車路はあるようで、そこは徒歩で歩く人も使える、と書いてある。地下鉄マップを見てみると、GWBの近くにバス運行の会社がある。そこで、バス会社に行くことにした。窓口で、徒歩の場合の道路は、どこからですか?と聞くと、「そんなの、知らないわよ。」と剣もほろろのご挨拶。諦めて、橋の方に向かって歩いて行ったら、自転車はこちら、という標識が目に入った。これだ、と、行ってみると、夜中以外は、ほぼ開いている模様。

たくさんの自転車乗りが皆ヘルメットをかぶって、自転車を引きながら、スロープを上がっていく。それについていくと、左に折れて、その先は、自動車道路と平行して自転車・歩行者道があり、自転車を引いていた人達は、一斉に自転車に乗り、颯爽と細い道を滑走して行った。残された私は、道の右側が歩行者用となっているのを、トボトボと歩き始めた。

自動車を運転していた時は、何も考えずに橋を渡っていたのが、徒歩で歩くと、この橋がいかに巨大で、圧倒的か、ということが現実に肌で感じられた。吊り橋のロープを支えている銀色の鋼鉄のロープ、梁、機械室、観測室、など、これまで何も考えずに橋を使っていたのが、それを支える構造、インフラ、など思われて、感動したのである。自転車・歩道は、橋の一番外側にひっついているので、ハドソン川の下流も全景が見え、遠くにマンハッタン中央の摩天楼群、さらに遠くのフリーダム・タワーまで、見える。目の前には、ニュージャージー州側の崖と、公園の緑が広がっている。

橋は全長1450メートル、1キロ半という。グーグル・マップで、検索してみたら、徒歩では、橋を渡るには30分ほどだと出ている。だがA実際に歩いた感覚では、20分前後だった。散歩には
ちょうどいい。天気さえ良ければ、GWBを往復するのは、健康に良いし、気分転換にもなる。
それに、コストもかからない。シニア割引の地下鉄を使えば、2、3ドルで済む。これは、いい時間の潰し方を見つけた、と、気に入っている。年を取ることの意味も一つ増えたような。

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