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火を貸してくれ-オリンピックの聖火リレーが呪われた? 

Sochi FireSochi Olympic

来年2月にロシアのソチで開催される冬季オリンピックに備え、プーチン大統領は、世界にロシアの威信をシッカリ記憶させようと思ったのだろうか。ソチのオリンピック聖火リレーも、これまでのどの聖火リレーよりも、より大きく、より見事に、よりスリリングに、という野心満々のリレーにしたかったようである。と、こう書いたのは、NYタイムス紙である。とはいえ、今回の聖火リレーの「火種事故」も桁外れに大きかった、とも。

ソチであれば、ギリシャと同じヨーロッパで地続き、最短距離を駆け足で行くだけなら、ヘラ神殿から、全部リレー走者でも賄えないことはないだろうが、そこは大国。ロシアの全地域(シべリア、北極、バイカル湖の横断、極東から、南側を回ってソチに到着)を巡らせ、間でソユーズ号で宇宙に飛ばし、宇宙ステーションに居住するロシア人飛行士(日本人も一人いる)にまでトーチが手渡された。(無論、この間、貴重な空気を消耗する聖火は消したままだが。)

宇宙に打ち上げること自体は、1996年のアトランタ・オリンピックで、アメリカが最初に宇宙に聖火トーチを飛ばしたが、今回は、宇宙ステーションで機体の外側に出て宇宙遊泳するのは史上初。これも大国同士の鍔迫り合い。宮沢賢治もビックリで、あの「星めぐりの歌」が、俄然身近に感じられた。 

だが、プーチンさんの号令一下とはいえ、今回の聖火リレー、色々災難に遭遇し、人々の持つスマホ等で写真に残り、それが世界を巡り、(お陰で!)NYタイムス紙も、旧敵国にケチをつけるというよりも、大国の辛さを分かち合う、という論調で、17日には、「多難続きの聖火リレー」という記事を載せた。記者はサラ・ライオルさん。だが仲々辛口。例えば、多くの民間情報やヴィデオの裏付けから、聖火は、最初の6日間で、50回近くも聖火が消えてしまったのだが(その内一回は、近くの警備員がジッポ・ライターで火をつけた)、ロシアのオリンピック委員会の広報部長オシン氏によれば「一時的火力の紛失」は、3回のみだと公式発表をした、と。また、聖火が、走者のジャケットに燃え移ったというハプニングも複数あったが、これもオシン氏に言わせると、「僅か3回のみで、走者に被害をもたらすような事故は皆無」です、とのこと。どこの国でも、役人は取り繕うことに長けている。

地上での搬送は、徒歩、泳ぎ(バイカル湖水中で)、飛行機、汽車、自動車、スノーモビル、アイスブレーカー(北極で)、ジェット・パック、ジップワイア、橇、馬、駱駝、と、思いつくあらゆる手段で参加した聖火ランナーはのべ14,000人。その内の一人が、直近の悲劇の主となった。ロシア領クルガン市(カザキスタンの北にあたる)で数百メートルの距離を走った、ヴァディム・ゴルべンコ氏(73歳)が完走後に心臓麻痺で病院に担ぎ込まれ、死亡したのである。長年運動選手のコーチを務めたこの高齢者の快挙を称えるのと、家族に哀悼の意を表するのとで、おごそかに。

そもそも、オリンピックの聖火自体、ヘラ神殿で何千年も消えなかった火ではない。オリンピックの開始数ヶ月前に火をつける点灯式がギリシャの処女巫女により執り行われる。国際オリンピック史研究会の前会長ビル・マロン氏によれば、パラボラの反射鏡を使い、太陽の光熱で点火し、その火をリレー用トーチに移すのだというから、「聖火」の名に恥じず、有り難いような気がするではないか。そして、聖火トーチのリレーが始まる。(主宰国の地点と、その国のどこをどう周るのかで、期間や費用が変わる。)通常は、トーチ走者の後方には、予備の聖火トーチ(種火)を持って伴走する者がいるハズだという。

であれば、仮に一時的にライターを使ったとしても、伴走者の「本物の太陽の火」が後からついて来るのであれば、そう説明すればよいと思うが、そう言わない処をみると、伴走者がいなかったのか、ケチったかだろうか? 今回ロシアは16000本のトーチを製作したというので、それなら、数本に本物をつけておけばよかったのではないか。不測の種火は一個と決まっているのだろうか?

実際には、走者にとって、この聖火リレーは、不自然な姿勢と、トーチの重量(見た目よりかなり重いのだそうで)、走る地域の気候・天候で、かなり肉体的負担が大きいという。走る際は聖火トーチは走者の前に常に掲げていなければならず、へたに振り回せば、誰かの服や髪に燃え移る危険もある。無理な姿勢で、見物人の前を走るから、高齢者の手に負えるものではないだろう。ティキ・トーチ専門店の販売部長のジェニファー・グロスハンドラーさんも、「トーチを持って走るのは、絶対お勧め出来ません。」と仰ったとか。(とはいえ、一度やってみたい気もするが。)

聖火を巡っては、リレーに限らず、聖火台でのパプニングも過去あった。1988年のソウル(韓)オリンピックでは、劇的な開会式を印象ずけるため、多くの鳩をドラマティックに一斉に飛ばしたところ、数羽の鳩が、聖火台に飛び込み、ヤキトリになったという。また、1956年のイタリア冬季オリンピックでは、スピードスケーターのグイド・カロリ氏が競技場にスケートで入り、マイクロフォンのワイアに引っかかり、トーチを持ったまま、尻もちをついたが聖火は無事だった、というエピソードも。 

今回ロシアのトーチは、シベリアで製造され、制作費は、640万ドルだという。製作したのは、ソチの会社KrasMashで、通常は潜水艦の弾道ミサイルを製造している会社である。だが、10月の末、入札を終えて、製造したトーチでリレーが始まるや、火が消えた或いは他に燃え移ったという現場写真が直ちにワンサと世界を駆け巡ったと、プラウダ紙(英語版)がネットで報告した。ボブスレー選手の走者が持ったトーチから火が燃え移ったという事故があった時、ロシア議会の議員、ミハイル・スタシノフ氏は、モスクワ・タイムスのインタビューで言った。「なんで16000本のトーチが必要なんだ?一本幾らなんだ?で、そんなに高いトーチなのに、なんで故障ばかりなんだ?普通だったら、誰も不思議に思うんじゃないか?」

最近のオリンピックでは、トーチ走者は、持って走るトーチを買い取る権利を持つ、という。ロシアの場合、トーチ一本約400ドル(12800ルーブル)約38,000円だという。買ったはいいが、怪我をしたり、火が消えたりというのでは、踏んだり蹴ったりといえないか。ロシアの走者は、皆が金持ちではない。多くの走者が、クレジットで買えるか、と聞いたという。だがその答えは「クレジットはダメ。」委員会のオシン氏によれば「良い想い出になるでしょう。」と。粗悪品(かどうかは不明だが)を売りつけて、後は自己責任ですか、と言いたいようなNY記者の記事である。

だが、プラウダ紙が、自国の製品のレベルについて云々しているという事実は、情報開示という点で、昔の党新聞から思えば隔世の感がある。

聖火リレーといえば、私の記憶にあるのは1964年東京オリンピックの聖火リレーである。当時、沖縄は琉球政府として米国の管理区域であったが、オリンピック時に特別措置として、日本領として認め、聖火リレーも、沖縄が日本で最初の上陸地点とされた、というのが話題になった。知り合いが、当時の男性週刊誌「平凡パンチ」のカメラマン(懐かしい名称だ)をしていて、沖縄に聖火上陸の写真を撮ってこいと言われたという話もきいていた。大学に入ったばかりの時である。(その後の札幌、長野の冬季オリンピックの時はすでに米国に居たので日本の情報薄だった。)

当時の記録を攫ってみたら、ギリシャのオリンピアにあるヘラ神殿から日本まで、イスタンブール(トルコ)→ ベイルート(レバノン)→ テヘラン(イラン)→ ラホール(パキスタン)→ ニューデリー(インド)→ ラングーン(ビルマ)→ バンコク(タイ)→ クアラルンプール(マレーシア)→ マニラ(フィリピン)→ ホンコン(ホンコン)→ 台北(台湾)と、11の中継地を経て(これは、全てJAL日航機)、9月7日に沖縄に到着、そこから3箇所に分かれて(トーチの火を火分けして)日本国すべての都道府県を巡って東京に集結させ、3本のトーチが、会場の聖火台に大きく炎を上げた。空輸総距離は1万5,508km。地上リレー総距離は732km(リレー総区間は870区間)、参加リレー走者は870人と、健気な記録を残している。

だが、クーベルタン男爵の理念は別として、聖火リレーという形がいつまで必要なのか、という疑問は、少なくない人がもっているようだ。(ジッポを送れば、という人もいるようだし。)日本の神輿みたいなものでしょうかね?軽くてパーがいい、といわれながらも消えない処をみると、人間がアナログだから神話が続くのか?
 

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