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南の楽園で 

2013 Lighthouse Bay (800x450)

6月23日から28日まで、フロリダのボニタ・スプリングスに行ってきた。30年以上の友人Mさんがご主人と二人で住んでいて、以前から、泊りにいらっしゃいと言って下さっていたのを、丁度、少し時間が出来た(と勝手に思うことにして)、押しかけて行ってきた、というのが実情で。

日本から渡米してきたMさんは、ずっとNYのロング・アイランドに住んでいた。最初はC銀行に勤めていたが、その後、日系商社Aに移り、A社が他社に合併された後、当時電算機でしられた日系N社に移り、会計部門で働いていた元キャリア・レディである。N社が本社をテキサスだったかに移転させるという頃、当時のご主人が急逝し、一人で頑張っていたMさんは、テキサスに一緒に移るか迷っていた。そうした頃、地元の教会の牧師さんから、病気で奥さんと娘さんの一人を亡くし、傷心していたTさんを紹介された。その方が今のご主人である。Tさんは、大手日用品製造販売のJ社の欧州支店の役員をして、フランスに駐在していたが、米国に戻って、ロング・アイランドの富裕層がすむ東側の方に豪邸を構えていた。彼女は、元の家を処理して、その邸に移った。そして、二人が高齢になった時、10年程前、NYの邸は処分して、二人でフロリダの今の家に移ったのである。

料理が上手で、陽気で話題の広いMさんは、交友関係も広く、私の大学時代からの友人MBさんがNYに来てC銀行に入った時、Mさんと知り合い、ついでに私も、交友のお仲間に入れて頂いた、という経緯がある。MBさんは、NJに住んでいるが、オペラ等のシーズンは、NYに来て、お正月などは、Mさん、MBさんご夫妻が私のアパートに来て下さったのも共通した楽しい思い出である。

そんな長い付き合いなので、つい、こちらも甘えてしまい、今回も転がり込んでしまった。

今まで何度かお邪魔しているので、家の周辺も事情が判っている。それで、今回は彼女の家の周辺を、何度か一人で散歩した。彼女達の家は、タウンハウス(俗に「西洋長屋」といわれる形式)で、700軒近くのコンドが、2、3軒並んで一棟となっていて、それらが更に、隣の棟に繋がっている。そうした棟が、100棟以上点在し、正門と西門の入り口には、ゲートがあり、門番が常駐しているゲート・コミュニティである。こうしたゲート・コミュニティは、アメリカの諸郊外には多く、高級感と安全を謳っている。

灯台湾(Lighthouse Bay)という名のコミュニティの敷地は広大で、内部には、湖(底では外部の湿地帯とも繋がっているとか)が、棟の区割りの役目をし、昼間は、湖の中の噴水がそれこそ目に入らない場所は無い位、あちこちに高く水を吹上げて、清涼感を与えている。そのランド・スケープの良さは、ゴルフ場のランド・スケープの住宅版みたいで、様々な工夫が凝らしてあって、今回は、その敷地内を、一番外側の歩道小路を歩いてみたのだが、一周(3マイルとか)するのに、45分かかり、丁度良いエクササイズになった。

何故灯台湾というのか、兼ねて疑問に思っていたのもあるが、今回、その名のいわれを聞いてみたら、コミュニティの中央の本館が、灯台の型になっているのだと(上の写真が、その建物)。敷地内には、テニス・コート2箇所、プール2箇所、コミュニティ本館、スポーツ・クラブが点在し、Mさんがメンバーのズンバ・クラスにも参加し、午後は近くのビーチで泳ぐか、プール・サイドで、本を読んですごした。(お陰で、ギリシャ並の日焼けもバッチリ。)プールも、競泳用の全館ガラス張りプールと、家族用、野外のお遊び用浅瀬、ヒョウタン型、小ぶりのお座敷滝もあるプール・エリアがあり、隣接して、スポーツ器機のならぶ、ジムもある。本館(灯台の下)には掲示板があり、そこには、コンドを売りたい人、買いたい人のオファーが、一杯はってある。ご多聞にもれず、このコミュニティも、数年間、価格の高低乱舞が激しく、今は、急騰後の急下落から、持ち直しているという段階らしい。灯台を巡った湖には、ボートが並んでいて、ボート遊びも出来る。

小路を歩いていると、ランド・スケープ管理の人達が、工具を持って、或は、電気自動車に乗って、あちこち、補修・手入れをしているところに出くわす。彼らは、一様に、ハイ、と声掛けして、どう、楽しい?と聞いてくれる。シュア、と頷き笑い返す。これが、ここは安全地だと思わせる。犬を連れて歩いている人もいる。散歩で出会っても、長年の友みたいにハーイと言い合わすのも、囲まれたコミュニティのしきたり。

各コンド・ユニットの作りは、大まかの敷地とそれぞれの間取りで、家に接続させた小さな個別プール付き、プールは無いが湖に面している、など様々な好みから、場所を選ぶのだろう。Mさんのところには、プール(というか、大きな風呂)があり、以前、皆少し若かった時は、自宅のプール(電気で温水、攪拌)で、水着でシャンペンを飲みながら、などという、テルマエ・ロマエみたいなことも楽しんだ。ヨーロッパに駐在していたTさんの美術コレクションは、家のあちこちに置かれて、家具とも調和させているのも、Tさんならではの審美眼で楽しい。

夏場は、このコミュニティは、実に静かである。何故なら、暑い時は、北のコロラド、ミネソタ、NYなり、カナダ、欧州などに、避暑に行く人が多いからだと。家を複数持っている人は、非常に多い。家の所有ということには、非常な想い入れがあるのだろう。以前参加した金融セミナーでは、アメリカ人の中流以上は一般に、資産としては、不動産と金融資産の割合が、不動産2/3,金融1/3と聞いたことがある。複数の不動産をもって、さらに金融資産を、その半額所有する、というのは、考えただけで疲れそう。

この快適なコンドに居て、Mさんから、貴女もフロリダに移ったら?と、言われた私は、逡巡した。確かに、快適な生活である。部屋は、常時24℃に保たれ、ボタン一つで日常の殆どのことは出来る。午後の熱帯暴風雨にたいする対応もシッカリしている。ただ、ここの完璧なランド・スケープと、ボタン対応が、「人工的」という言葉と、学生の時に先輩から言われた、「西洋文化は、自然への挑戦と克服で、日本文化は、自然との共生なんだよね。」という言葉が、いきなり思い出されたのも、本当だ。 NYだって、実に人工的ではないか、とは思う。あのセントラル・パークだって人工公園だし。とはいえ、NYには、例えば「マンハッタン」というコミュニティは無い。雑多な人達が、雑多に生きているので、それこそお国丸出し満開である。それはその人達の自然な振る舞いだから、誰も他国の人の行動をあげつらうことはない。一方、フロリダに限らず、アメリカの都市には(仕事柄、日系企業が頑張って営業している多くの地方都市を訪れたが)、ある層の文化的価値観というのは、確かにある。今は、今世紀生まれが育ち始め、新世紀世代がこれからそうした価値観は変えていくのかもしれないが、それまでには、こっちの生涯が先に終わってしまうだろう。

そうして見ると、アメリカ中流社会の文化的価値観を共有していない(つまりは洗練されていない)私には、このゲート・コミュニティは、たまに来るにはいいところだ、というにとどめておきたい、と、帰りの飛行機で思ったのである。あの、「人工的な快適コミュニティ」よりも、雑種だが自由なNYを、当分は選び続けるだろう、と。

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