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Capitalismの終わりの始まり? 

AIG 5 Yrs過去5年間のAIGの株価

今年9月の中旬、米財務省は、4年前2008年の金融危機時にテコ入れしたAIGの保有株の一部を売却し、政府保有率を半分以下にしたと発表した。この発表は、金融業界で、また、一般メディアからも多くのコメントを引き寄せた。NYタイムスのアンドリュー・ロス・ソーキン記者は、財務省の勝利だとして記事を書いた。その書き出しはこうだ。

「『ハッピー・エンドの映画が嫌いなヤツもいますからね。』こういったのは、ホワイト・ハウスの職員で、TARP(不良資産救済プログラム) の特別検事であったニール・バロフスキー氏への当てつけである。」(バロフスキーは、AIGへの投資結果の数字計上が正しくない、と財務省を批判し、2年前上院議員のパネルで、証言した。)

続けて「そして今週。財務省は持っているAIG株の$18ビリオン分を売り、利益を挙げたと宣言した。これは4年前には、財務長官ティモシー・ガイトナー自身も含めて誰も予測しなかった驚くほどの業績である。あの『ウォール街を占拠せよ』の運動の源とも言われているAIG緊急援助に反対を唱える市民は、援助はブラック・ホールに金をつぎ込むだけだ、と主張していた。」と、いつもは冷静なソーキン記者は若干舞い上がったような政府賞賛。

だが、他のメディアはもう少し冷静である。ソーキン氏ほどの手放しの賞賛はしない。「事はそれほど単純ではない。」と書くのは、アトランティック誌のジェームズ・クワックKwak記者。
「大事なことは、AIG援助は多くの意味で成功した。元の株主は殆ど退散し、CEOはバッサリ首になったから、納税者は美味しいところを採れた。」と冷静である。彼によれば、AIG救援の内容は、「2008年9月16日に連邦準備銀行からの貸付額$85ビリオンが最初で、翌10月には追加融資$38ビリオン。その翌月11月には、財務省はTARPに入った金を使って、$40ビリオンで、シリーズD優良株を買い、AIGが現金化して、融資額を一部変換することとした。翌年2009年3月には財務省は、更にTARPの$30ビリオンを使って、シリーズF優良株を買い(その間にシリーズDはAIGにとって更に有利なシリーズEに変換し)、同時にもっと有利な変換優良株も買った。」

財務省は、株価の損益分岐点は、$28.73であるので、現在値$32.5は分岐点を超えているので利益が上がったと説明している。
これに噛み付いたのがバロフスキーである。財務省とバロフスキーの確執は、最近のことでは無い。バロフスキーの主張は、損益分岐点は、$45.53である(から、まだ納税者にとっては損であるとの主張)。

ソーキン記者、クワック記者の意見を読んでも、何がどうなっているのか判らなかったので、少し攫ってみた。出てきたのは、ブルンバーグの記事。デボラ・ソロモン女史の記事で、今年3月9日の記事である。題名は、「納税者はAIG救援で得をしたのか?」その時点で、既に、損益分岐点が$28.73なのか、$43.53なのか、という『財務省対バロフスキー』論争は激しくされていた様である。

「株の取引で最も基本的で直感的に正しい法則、安く買って高く売るという命題が、ワシントンでは、金融緊急救援の成功を巡って、なんとも複雑な政争の的となる。」という文章ではじまる記事は、実に明解だった。

「どちらが正しいのか?ワシントンの予算となると、誰が計上して、どう計上するかによって、答えは違う。
バロフスキーの主張する、TARPは低い$28.73の売値では損を出す、というのは、技術的には正しい。TARPは、当初AIGの優良株に投資した。当時の議会には、株価は$43.53と報告している。だが、AIGの救済は2008年に連邦準備銀行ローンで最初$85ビリオン注ぎ込み、その後何重にもローン構成を変換し、その都度価格も政府資産の額も変わっていった。

最終的には、AIGは、連銀のローンは完済し、財務省は、持っている優良株を、$47.5ビリオンの総合価値のある1.655ビリオンの新規発行一般株に変換した。この変更で、損益分岐点は、$28.73になったのである。
違いはなにか?財務省が優良株を変換した時、連銀から563ミリオンの新株を受け取ったのである。但し、この株は、TARPの外での取引であった。

従って、TARPのバランス・シートのみで見れば、損益分岐点は$43.53である。連邦政府の一体どこでそれらの株は管理されるのかを無視すれば、全般的にみれば、財務省はこの木曜日にちょっとした利益を挙げたと言える。」

更に女史は、「緊急支援についてはバロフスキーは、従来からの誤った見方をしている、」という経済学者の意見を載せている。そして、最後に、「我々は皆数字の戦いが好きだが、AIGが納税者に取って、勝者になるのか敗者になるのかは、最終的決算をみてからで無ければ判らない。それまでは、休戦にしてはどうだろう。」と結んでいる。

上記の表は、過去5年間のAIG株価の動きである。5年前までは、AIGの株価は$1,000前後という高価で安定したものだった。だが、4年前のレーマン・ショックから始まる金融危機で、最低値は2009年2月23日に$7.04という値に落ち、その後、現在に至って、$30-35で低迷を続けている。以前の$1000台から比べれば、$28だろうと$43だろうと、目くじら立てて争う間に、企業全体の立て直しが必要ではないかと思った次第である。半年も前の記事がもしその通りであれば、株価で云々している間に、資本主義の終わりの始まりが進行するのではないかと危惧する。

(バロフスキー氏は最近『緊急援助の真相Bailout』という本を出版し、AIG救援と財務省の内幕を報告している。)

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