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オリンパス事件と日本的経営感覚 

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オリンパス(オ社)の「飛ばし」が世間で飛び交ったのは、今年の10月位である。「飛ばし」と聴いて、すぐに思い浮かぶのは、日本のバブルが崩壊した1980年代の末に証券会社が重要顧客に対して、「特別救護」して、一般株主とは異なる値段で取引決裁したという事件だった。粉飾決裁として1991年には、証券取引法で禁止となっている。

だが、オ社の「不祥事」が総合雑誌「ファクタ」8月号、10月号に載った記事を基に、最初にニューヨーク・タイムス紙が報道したのは、解任された英国人のウッドフォード氏のインタビューを基にした10月23日の記事からである。NYタイムス紙は、その後一週間に渡って、殆ど連日オリンパス報道をしたが、内容は少しずつ違っていった。最初は、2008年英国のジャイラス社の買収に際して、仲介の労を取ったセガワ・ハジメと、ナカガワ・アキオという仲介者への報酬が一般規準を大幅に上回った(一説には30倍)ことの理由を2011年4月に社長に新任したウッドフォード氏が経営陣に確認したが納得のいく回答が得られなかったということから端を発している。ケーマン諸島(外資の税金などに緩慢な海外取引の地)にある事務所は、一般には知られていない零細の証券取引事務所だった。しかも、この仲介手数料がオ社から支払われるや、直ぐに事務所を畳んでしまったのだ。だから、総会屋と裏金・裏社会(ヤクザか?)との結びつきを匂わせた記事だったのも無理はない。FBIが調査中、との、記載はあるが、日本のオ社の広報部は、英国社買収についてFBIが調査していることは知らないと述べた。

これを受けて翌日のタイムス紙の経済記者、タブチ・ヒロコさんが野村證券関連の、ヨコオ・ノブマサ氏と、その兄が、一連の流れに絡んでいると報道。ヨコオ氏は、日本での3社買収に関わったが、買収直後に帳簿上、三社の損失を計上した、と。兄のヨコオ・アキノブ氏は、オ社の、本来の事業とは無縁のイタリア・レストラン、E-ビジネスなどへの投資関連を指導した。その結果、2009年3月には、オ社は赤字となった、という。何故ヨコオ兄弟がオ社の買収活動にかくも関わった(その上、どれも皆赤字)のかは不明であるが、これらは公文書などから追跡でき、ウッドフォード氏が提出した記録とも整合性がとれている、と述べている。

通常、新聞社が名指しで(今回のヨコオ氏兄弟のように)記事を書く場合、本人達にその旨連絡し、反論の機会を与えるのだが、今回の報道では(また、その後も)本人達の反論は載っていない。無論、だから当人達が記事を認めたということでは無いが、現在に至るまで、NYタイムス紙には、記事への批判があったとも書かれていない。

実は、この一月後、11月22日から12月7日まで私は日本に行く機会があり、この件が日本のメディアでどのように報道されているのか、また当事国でもあるので、日本滞在中は、もっと詳しい情報が得られるのではないかとTV・新聞を期待して見たのだが、何故かNYタイムスを越える詳細な記事はなかったのが実に不思議であった。又、ナカガワ・セガワ・ヨコオ各氏についてはどこも言及を避けている、という印象が深かった。捜査の対象には入っていないから、というのがその理由らしかった。(だが、もし無関係な当事者であれば、濡れ衣を晴らす場となるのではないか?)

その後、12月6日前後に弁護士と公認会計士とで第三者委員会が設立されたのだが、その委員会の調べでは、オ社は、1990年代以降、有価証券投資により発生した損失の隠蔽が続けられ、その補填のために当該買収が実施されたことが明らかとなった。その詳細は、各紙が載せているので、ここでは割愛する。損失隠しと株価操作が主で、1990年頃から、連綿として故意の改竄があった、との報告である。この間に公認会計会社も変えている。
NYに戻って、ネットでこの件を攫っても、この件で新しい情報は無い。だが、12月12日、ネットの日経ビジネスには、以下の記事が載った。

「オリンパス問題で日本社会が問われている」の違和感
日本のガバナンスばかりが責められているけど― 記者の眼からみた報道。このサイトをクリックしても会員登録をしていなければ読めないかもしれない(登録は無料だとあるが)ので、簡単に言えば、今回のオリンパスの問題は、日本だけではなく、外国にも同様の問題がある、ということを述べている。

外国にも同様の問題が、という指摘は正しい。だが、これは、あの人も、この人もやっている、だから、私もやった、ということ以上の薄める意味合以上は無いのではないだろうか。

そういえば、10月末頃に、ネットで出てきた事実の一つは、日経からオリンパスに役員が天下っている、という生臭い話がある。(直接ではなく、日経新聞専務から、系列TV局のテレビ愛知社長などを経て、とか。)まさか、この件が絡んでいるとは思いたくもないが。

むしろ、もし日本の企業経営感覚を掘り下げて行くのであれば、村上龍さんの"メルマガ"で、オリンパス、大王製紙、読売巨人軍、一連の事件から学ぶことは?という時宜に適った問いかけに対し、回答している、慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏の、現行法との関連が、問題点をより深く抉っているのではないかと、思わせた。

氏によれば、「独立行政法人法」と比べて、現在の「会社法」は、ガバナンスとして
1.取締役間や取締役と監査役の間に相互牽制効果が内包されていること、
2.取締役や監査役が任務を懈怠すれば責任を追及されること、
3.3人以上の監査役からなる監査役会を設ける会社ではその半数以上を独立した社外監査役としなければならないこと、
4.株主代表訴訟により役員の責任を追及し株主の権利を保護できること、
5.内部統制システム構築が法的に義務付けられていること
などがある、と述べている。

もし、そうであるならば、上記がもし健全に機能していれば、今回の事件は有り様も無いのでは無かったのか。

日本的経営という名の下に、どれだけの企業が不明瞭な感覚の下に日々の営業を行い、長い目でみれば、株主の信頼を裏切っているのか。
資金調達がグローバルになっている今、早く正しいガバナンスに向けて舵を切ることが国益にも沿っている、ということを調査報告することが「社会の木鐸」の役割ではないのか?外国だって、とか、ナベツネがどうした、という言い訳よりも。

そして、12月21日、ついに東京地検特捜部は腰を挙げた。

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